世界でも失敗続き?車体傾斜式車両の黒歴史
JR四国の2600系が運用開始前から、今後の新車については空気バネ方式を用いた車両ではなく、振り子式の車両を導入する ということになり話題です。
車体傾斜式車両は、世界でも黒歴史になった車両が少なくありません。この記事では黒歴史化した?世界の車体傾斜式車両を紹介します。
ICE-TD
ICE-TDは、ドイツのICEにおける気動車版としてニュルンベルク〜ドレスデンにて2001年より営業運転を開始しました。しかしながら、シーメンス製の車体傾斜装置にトラブルが頻発し2003年12月で運用から離脱しました。その後も、波動輸送などに用いられたりはしましたが、2007年に「渡り鳥」ルートに導入するまで、定期運用を持たない状況が続きました。「渡り鳥」ルートでは、ハンブルク(一部ベルリン)〜コペンハーゲン(デンマーク)で運転され、途中車両航走もあるというルートでしたが、コストがかかるからなのか、DBBahn(ドイツ連邦鉄道)はこれ以上ICE-TDに投資しないと決めたこともあって、運用を減らしており、2017年10月をもって運用から撤退する模様です。
クロスカントリー クラス221「スーパーボイジャー」
クラス221「スーパーボイジャー」はイギリスにて運用されている車体傾斜システムを搭載した気動車車両で、VirginTrainsとCrossCountryというフランチャイズによって運用されています。VirginTrainsのクラス221は現在もおそらく車体傾斜システムを動作させていると思われますが、CrossCountryのクラス221はメンテナンス費用の削減のため、油圧式車体傾斜システムは取り外され、車体は台車に固定されています。なお、クラス220は油圧式車体傾斜システムがついていませんが、外見はそっくりです。
CrossCountryのClass220か221(外見での区別の付け方がわかりません…)
Renfe730
Renfe730は、スペイン高速鉄道における高速化を非電化路線にまで波及させるため、Renfe130をベースに、電車としての運転とディーゼル列車としての運転の両方をできるハイブリット式車両として導入された車両です。前後にある動力車の後ろに、ディーゼルエンジンを搭載した電源車を連結することでハイブリット式としての機能を持たせています。客車はタルゴVIIであるため、車体傾斜システムを積んでいます。同車は、2013年7月24日にサンティアゴ・デ・コンポステーラ列車脱線事故を引き起こしており、79人が死亡する高速列車としては最悪レベルの事故となっています。